オフショア開発とは、日本から海外に開発を委託することです。
オフショア開発には、コスト削減や人材不足の解消などのメリットがありますが、同時にコミュニケーションの課題も多くあります。例えば、言語や文化の違い、時間差や距離感の問題、品質や納期の管理などです。
これらの課題を解決するためには、効果的なコミュニケーション戦略を立案し、円滑なプロジェクト進行をサポートする必要があります。この記事では、オフショア開発で頻発するコミュニケーション課題と、その解決のための戦略立案について紹介します。
コミュニケーション課題1: 言語や文化の違い
オフショア開発では、日本語と英語や現地語の間でコミュニケーションをとる必要があります。
しかし、言語だけでなく、文化や国民性の違いも大きく影響します。例えば、日本人は暗黙的なコミュニケーションを好みますが、海外では明確かつ具体的なコミュニケーションが求められます。
また、日本人は「NO」と言うことを避けますが、海外では「YES」と言っても実行しないことがあります。
戦略1: 日本語学習者が多い国を選ぶ
オフショア開発先として日本語学習者が多い国を選ぶことで、言語や文化の違いを緩和することができます。例えば、ベトナムやインドネシアなどは日本語教育が盛んであり、日本文化にも親近感を持っています。また、日本人と同じくらい勤勉で真面目な国民性もあります。
戦略2: ブリッジSEの言語力・コミュニケーション力をしっかりと見極める
ブリッジSEとは、日本側と海外側の間に入ってコミュニケーションを仲介する役割を担うエンジニアです。
ブリッジSEは言語力だけでなく、コミュニケーション力も高いことが求められます。ブリッジSEは、日本側の要件や仕様を海外側に正確に伝えるだけでなく、海外側の状況や問題点を日本側にフィードバックすることも重要です。また、ブリッジSEは、日本側と海外側の信頼関係を築くことも大切です。
戦略3: 文化、風土、国民性の違いを理解する
オフショア開発では、言語や文化の違いだけでなく、風土や国民性の違いもコミュニケーションに影響します。
例えば、日本では納期や品質に厳しいですが、海外では柔軟性や創造性に重きを置くことがあります。また、日本では上下関係や敬語が重要ですが、海外では平等やフランクさが求められることがあります。
これらの違いを理解することで、オフショア開発先の特徴や強みを活かすことができます。
また、違いを尊重し、相互理解を深めることで、コミュニケーションの障壁を減らすことができます。
コミュニケーション課題2: 時間差や距離感の問題
オフショア開発では、日本と海外という物理的に離れた場所で開発を行います。そのため、時間差や距離感の問題が生じます。例えば、日本と海外の営業時間がずれているために、連絡や打ち合わせが困難になることがあります。また、直接会って話すことができないために、情報伝達や信頼関係の構築が難しくなることがあります。
戦略4: 日本流のコミュニケーションを見直す
オフショア開発では、日本流のコミュニケーションを見直す必要があります。日本流のコミュニケーションは以下のような特徴があります。
- 空気を読むことが重要
- 言葉に含まれるニュアンスや暗黙の了解を理解することが重要
- 直接的な表現や否定的な意見を避けることが多い
- 会話の中で相槌やフィードバックを入れることが多い
- 文書や資料は詳細で丁寧に作成することが多い
しかし、これらのコミュニケーションスタイルは、海外では通用しない場合があります。海外では、以下のようなコミュニケーションスタイルが求められることがあります。
- 明確で具体的な指示や要望を伝えることが重要
- 言葉に含まれる意味や目的を明確にすることが重要
- 直接的な表現や否定的な意見を受け入れることが多い
- 会話の中で無駄な話や感情表現を省くことが多い
- 文書や資料は簡潔で要点をまとめることが多い
したがって、オフショア開発では、日本流のコミュニケーションを見直し、海外側に合わせたコミュニケーションを行うことが必要です。例えば、以下のような方法があります 。
- 時間差を考慮して、連絡や打ち合わせの時間帯を決める
- メールやチャットなどの非同期的なコミュニケーションツールを活用する
- 電話やビデオ会議などの同期的なコミュニケーションツールも定期的に利用する
- コミュニケーションの内容や結果を文書化して共有する
- 海外側の言語や文化に配慮して、敬意や感謝の気持ちを伝える
戦略5: オフショア開発先への訪問や交流を行う
オフショア開発では、物理的に離れた場所で開発を行うため、距離感が生じます。距離感は、コミュニケーションの障壁だけでなく、モチベーションやチームワークの低下にもつながります。そこで、オフショア開発では、オフショア開発先への訪問や交流を行うことが有効です。
オフショア開発先への訪問や交流は、以下のようなメリットがあります。
- 海外側の環境や状況を直接観察することができる
- 海外側の人材や能力を直接評価することができる
- 海外側と直接会って話すことで、信頼関係や親近感を築くことができる
- 海外側と直接会って話すことで、コミュニケーションの質や効率を向上させることができる
- 海外側との交流を通して、文化や風習の違いを理解し、尊重することができる
オフショア開発先への訪問や交流は、コロナ禍などの事情によって難しい場合もあります。その場合は、オンラインでの交流やイベントを行うことも有効です。
例えば、以下のような方法があります。
- オンラインでの歓迎会や送別会などの懇親会を行う
- オンラインでの技術勉強会やプレゼンテーションなどの知識共有会を行う
- オンラインでのゲームやクイズなどの楽しい企画を行う
まとめ
オフショア開発は、開発コストの削減やエンジニア不足の解消などのメリットがありますが、コミュニケーション課題も多く存在します。
本記事では、オフショア開発で頻発するコミュニケーション課題と、その解決策について紹介しました。
オフショア開発でコミュニケーション課題を解決するためには、以下の5つの戦略が有効です。
- 日本語学習者が多い国を選ぶ
- ブリッジSEの言語力・コミュニケーション力をしっかりと見極める
- 文化、風土、国民性の違いを理解する
- 日本流のコミュニケーションを見直す
- オフショア開発先への訪問や交流を行う
オフショア開発は、単に海外に仕事を任せるだけではなく、海外と協力して共に成長することが重要です。オフショア開発で成功するためには、コミュニケーション課題に積極的に取り組み、海外側との信頼関係やパートナーシップを築くことが必要です。
以上で記事は終わりです。ご覧いただきありがとうございました。
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